自筆証書遺言と公正証書遺言
通常、行政書士や弁護士が
遺言作成に関するサポートを提供する場合、
自筆証書遺言より公正証書遺言の方が安心であることから、
公正証書遺言を奨めていることが多いと思います。
そして、公正証書遺言の作成サポートの方が
自筆証書遺言の作成サポートよりも
高額な報酬を設定しているところがほとんどです。
確かに、自筆証書遺言と公正証書遺言とを比較すれば、
公正証書遺言の方が安心であることに疑いはありません。
しかし、当事務所では、
遺言書完全サポート・
遺言書添削サポート・
遺言書作成キット1000として、
あえて自筆証書遺言についての諸サポートを
お求めやすい価格で提供しています。
なぜ、自筆証書遺言の作成サポートなのでしょうか?
遺言書は後生大事にとっておくものではない
なぜならば、遺言書は、
一度作ってそれを後生大事にとっておく…
というものではなく、
定期的に、できれば一年に一回書き直すべきものである…
というのが当事務所の考えだからです。
一度完璧と思われる遺言書を作ったとしても、
時が経てば、遺言者を取り巻く環境が変わったり、
推定相続人を取り巻く環境が変わったりします。
環境は変わらないけど気が変わるということもあります。
こうなるともはやその遺言書は
完璧とは言えなくなってしまいます。
また、遺言書は
日付の新しいものが原則として有効となることから、
古い遺言書であればあるほど
日付の新しい偽造遺言書によって効力を否定されるという
危険に晒される可能性が大きいことになります。
さらに、偽造遺言書が出てこない場合でも、
作成後かなりの期間が経過した遺言に対しては、
もはや「被相続人の最後の意思」とはいえないのではないか…
という疑念を相続人が抱くことになりかねないことは、
相続人の立場に立ってみれば容易に想像がつきます。
従って、遺言書というものは
一度作ってそれを後生大事にとっておくものではなく、
必要に応じて作り直していくもの、
さらに言えば、
定期的に(年に一度くらい)作り直すべきものなのです。
この「定期的に作り直す」という観点からは、
公正証書遺言よりも自筆証書遺言の方がよいのです。
もちろん、公正証書遺言であっても
定期的に(年に一度くらい)作り直すことが
できないわけではありません。
しかし、公正証書遺言作成のために必要となる手間を考えると、
定期的に作り直すことは、現実問題としては難しいでしょう。
それどころか、
明らかに作り直さなければならないような特別な事情が生じたような場合であっても、
手続が面倒であるがゆえに後回しにしがちになり、
ただ時間だけが過ぎていく…
となる可能性が大きいことは容易に想像できます。
この点、自筆証書遺言なら作成手続が面倒ではないので
定期的に(年に一度くらい)作り直すということも現実的です。
そして、定期的に作り直す習慣があれば、
本当に作り直さなければならないような特別な事情が生じた場合にも、
臨機応変に、躊躇なく作り直すことが可能でしょう。
いつでも公正証書遺言にできる
このように、何度か作り直しを経た上で、
安心のために公正証書遺言にしたいと思えば、
その時に公正証書遺言にすればいいのです。
きちんとした内容の自筆証書遺言さえ作っておけば、
それと同じ内容の公正証書遺言を公証人に作ってもらうに際しては、
公証人の指示通りに手続を進めればいいだけです。
早い時期に自筆証書遺言を作る。
それを何年間か改訂(作り直し)を重ねることによって熟成させる。
(内容を変える必要がないときには、日付だけ新しいものにすればよい)
そして、将来的に公正証書遺言にしたいと思えば、その時に、
それまで熟成させた自筆証書遺言の内容を基礎にして
公証人に公正証書遺言を作ってもらう。
これが当事務所が考える理想的な遺言書です。
※
もちろん、「自分には遺言書を作り直すだけの余命がない…」という方は、
最初から公証人に公正証書遺言を作ってもらうのがよいでしょう。
なぜならば、それがその人にとっては理想的な遺言書と言えるからです。
公正証書か?自筆証書か?よりも…
最近、遺言書が注目されています。
テレビ番組や新聞の特集記事などでも、
遺言書の情報が多く取り扱われています。
しかし、実際に遺言書を書いているという方はまだまだ少数派でしょう。
つまり、大多数の人にとっては、
自筆証書遺言か公正証書遺言かの選択という問題以前に、
遺言書を書くか書かないかの選択という問題の方が重要なのです。
遺言書をまだ書いていないという大多数の方にとっては、
まず(基礎となる)遺言書を、将来作り直しができる程度に内容を理解した上できちっと作る…
ということが重要なのであり、それがはじめの第一歩なのです。
当事務所は
遺言書完全サポート・
遺言書添削サポート・
遺言書作成キット1000を、
その一歩を踏み出すための手助けとして利用して貰いたい…
と願っています。
ちなみに、
自筆証書遺言を熟成させている期間
(定期的に作り直している期間)に
遺言者が死亡した場合でも、
自筆証書遺言も正当な「遺言」ですから、
遺言としての法的効力が認められることは
言うまでもありません。
また、
既に公正証書遺言を作っている場合でも、
それを作り直すには公正証書遺言でなければならない…
ということはありません。
従来の公正証書遺言と矛盾する内容の自筆証書遺言を新たに作れば、
日付の新しい自筆証書遺言の方が有効となります。
公正証書遺言と自筆証書遺言とで
法的効力に優劣はないのです。
もっと遺言書について知りたい方は、
幸せを呼ぶ遺言書のすすめもご覧ください。